「強い日本」を作る安倍内閣「積極外交」




 中国の習近平主席はさきの米中首脳会談で、太平洋の「米中二分」を示唆するなど海洋進出の野望を露わにし、その矛先を日本に向けようと虎視眈々と狙っているが、これに対して安倍晋三首相は中国包囲網の形成を目指す「戦略外交」で対抗している。

 安倍外交が従来の日本外交と違うのは、安全保障面を重視し、日本側から積極的に安保対話を進めていることだ。首相就任から五ヶ月で十カ国を訪問、外遊には経団連や大手企業の社長らを引き連れ、インフラ支援や安保協力の強化など具体的な成果を挙げてきた。

 初の外遊先には日中が競り合う東南アジア地域を選び、ベトナムとタイ、インドネシアの三カ国を訪問した。中国は南シナ海をめぐってベトナムやフィリピンなどと軋轢(あつれき)を深める一方、インドシナ半島中央のラオスとカンボジアへの影響力を拡大しているからだ。
 
 カンボジアの首都プノンペンは人口一五0万人のうち三分の一が華僑・華人、ラオスの首都ビエンチャンにも十万人以上の中国人が入り込み、両国経済を握る。そこを基点に東南アジア諸国連合(ASEAN)を分断し、経済力を背景にタイなど周辺諸国へ浸透を強めようとしている。

 これに対して安倍首相はベトナムでは次官級戦略対話の開催を決め、原発輸出の継続を確認、道路建設も支援する。タイでも外交・防衛当局間協議の開催に合意し、高速鉄道の建設協議も推進。インドネシアではジャカルタ首都圏の開発支援を表明し、「対ASEAN外交五原則」を発表した。同原則は自由、民主主義、基本的人権の普遍的価値の定着、海洋を「力」ではなく「法」の支配する自由で開かれた「公共財」とし、経済連携のネットワークを通じて日本とASEAN諸国の共栄を図ろうというもので、価値観を主軸に据える。

 さらに五月、安倍首相は日本の首相としては三十六年ぶりにミャンマーを訪問、工業団地や電力インフラの支援を表明し、中国離れを支援する。

 二月にはワシントンを訪問、オバマ大統領との首脳会談で「日米同盟の信頼、強い絆は完全に復活したと自信を持って宣言したい」と、日米同盟の完全復活を世界に発信、民主党政権時代の"揺らぎ"を一掃した。

 それを踏まえ三月にモンゴルを訪問、中国の軍拡に対抗すべく政治や安全保障分野での関係を強化し、米国を加えた三カ国間で事務レベルによる政策協議の開始で合意。

 さらに四月から五月にかけてロシア・中東を歴訪。ロシアではプーチン大統領との首脳会談で、外務・防衛担当閣僚の「2プラス2」の創設に合意した。これは戦略的に高く評価されてよい。

 さきに習近平主席は初の外遊先にロシアを選び、プーチン大統領との首脳会談で、歴史問題での対日共同戦線を持ちかけたが、同大統領は乗らなかった。逆に安倍首相の「2プラス2」創設は受け入れ、日露重視策を鮮明にさせた。対中包囲網を形成する有力な布石となる。

 また、サウジアラビアとアラブ首長国連邦では原油の安定輸出、原子力開発協力のほか、安全保障対話を新設。トルコではシノップ原発プロジェクトに関する政府間協定を締結するなど関係を強化した。

 さらに安倍首相が力を入れるのはインドである。インドの発展の度合いがアジアでの覇権争いの行方を左右するとされるからだ。インド振興が遅れれば、それだけ中国の影響力が広がり、インド洋の安保すら危うくなる。逆にインドが発展すれば、中国はやすやすと西太平洋に出られなくなる。そこがポイントだ。

 こうした認識のもと五月下旬にインドのシン首相を日本に招き、首脳会談を開催し関係強化へ画期的な前進を見た。日印共同声明では核不拡散条約(NPT)未加盟では初めてとなる日印原子力協定の「早期妥結」で合意し、シーレーンの確保へ外務・防衛当局間の次官級対話と海上自衛隊とインド海軍との共同訓練を定期化することを決めた。ここでも安保重視が際立っている。

 中国の侵食が著しいのはアフリカだ。これには六月一日から横浜で第五回アフリカ開発会議(TICAD5)を開催、日本のアフリカ戦略を明確にさせた。同会議は初回の一九九三年以来、日本の対アフリカ関係の基軸として五年ごとに主催してきたものだ。

 同会議の基調演説で安倍首相は「今アフリカに必要なものは民間の投資と、それを活かす官民の連携だ」と強調、今後五年間に政府開発援助(ODA)約一兆四〇〇〇億円と官民での投資の計約一六〇億ドル(約一兆六〇〇〇億円)を柱とした、最大約三兆ニ〇〇〇億円の支援をアフリカ向けに行うと表明、「安倍イニチアシブ」を打ち出した。

 支援の額は過去最高で、安倍首相は「支援のカギは『人づくり』。これは日本が力を発揮したい分野だ」とし、五年で一〇〇〇人を日本に留学させ、卒業後に日本企業で雇用する「安倍イニチアシブ」を含む三万人の産業人材育成策も表明。中国のアフリカ支援との違いを鮮明にさせた。

 中国はアフリカ連合本部(エチオピア)の建設や各国政府の庁舎を無償で建設するなどアフリカ諸国への浸透を強めているが、支援に政治や軍事を絡ませ資源囲い込みを狙うのが特徴だ。

 日本の対アフリカ貿易額は中国の約五分の一、投資額は約三分の一にとどまる。習近平主席は三月のアフリカ歴訪で、三年で約ニ〇〇億ドル(二兆円)を融資するなどアフリカへの巨額支援を表明した。こうした「中国方式」を放置すれば、アフリカは中国に取り込まれ、覇権の拡大を許すことになる。そのパワーはやがて西太平洋へと波及する。今や「悪の帝国」となった中国をどう封じ込めるか。日本のみならず、自由主義世界全体の課題だ。これに日本は果敢に立ち向かわねばならない。

 これには「危険な中国包囲網作り」とか「韓国との関係を軽視している」との批判もあるが、こうした批判は当たらない。

 中国はともあれ、自由主義国である韓国とは安保上も関係を強化すべきだが、朴槿恵政権が中国重視策に傾斜する限り、「特に日本側からアプローチを掛けない(政府関係者)」韓国の反日批判は歴史問題を装って高まる可能性もある。だから今、敢えて日韓関係修復に動く必要はない。

 日本が強くならない限り、対中、対韓外交とも進展を見ないとの認識を持つべきだ。安倍戦略外交の積極的推進は国益にかなっている。安倍晋三政権を暖かく見守っていこうではありませんか。



                                                皇紀 2673年8月06日




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